必見!社用車管理 安全運転管理者の方へ

AUTOBACS SEVEN

必見!社用車管理
安全運転管理者の方へ

介護報酬改定_通所系サービスの送迎に関わる取扱いの明確化について

安全運転管理

先日、お取引先様から介護報酬の改正がある事をお伺いしました。当社としては、介護業界については全く知見もないので、業界についてお話出来る立場ではないのですが、一部、利用者の送迎に関わる内容がありましたので、車両の安全運行の観点から情報提供をさせて頂く事で、何かお役立ち出来ないかと考え、記事にしてみたいと思います。

法令改正の背景

まず、記事を書かせて頂くにあたり、どのような背景で今回の改訂が行われたのか、調べてみました。今回の改訂については、高齢者人口の増加、生産年齢人口の減少に伴う人手不足、そして、物価や人件費の高騰に伴う、介護事業者の経営環境悪化が背景にあるようです。また、改定の時期については、2024年4月と6月の2回に分かれており、サービス種別により実施時期が分かれているとの事でした。

通所系サービスにおける送迎に係る取扱いの明確化

そして、今回書かせて頂く内容は、いわゆる通所系サービスといわれる「通所介護」「地域密着型通所介護」「認知症対応型通所介護」「通所リハビリテーション」「療養通所介護」が対象だという事が分かりました。送迎の担い手確保の課題から、利用者の送迎に関しての内容が記載されています。以下内容について簡単にまとめてみました。

  • 送迎の範囲について

今までの送迎においては、自宅と事業者間との送迎のみが認められていましたが、一部例外的に、運営上支障がなく、利用者の居住実態がある場合には当該場所への送迎が認められることとなりました。これにより、例えば、近所の親戚の家などにも送迎が可能になり、利用者の利便性が向上できるほか、効率的な送迎ルートの計画などが可能にるのではないかと思います。

  • 他介護事業者との同乗について

今までは、事業所専属のドライバーが、自事業所利用者のみを車両に乗せて送迎する必要がありましたが、他事業者の従業員の場合でも、雇用契約や業務委託などを行い、責任の所在を明らかにする事で、他事業所の利用者との同乗が可能になりました。効率的な送迎運行や、人材確保負担の軽減を図る事が狙いだと思います。

  • 障害福祉サービス利用者との同乗について

上記の内容に加え、障害福祉サービス利用者との同乗についても責任の所在を明らかにすることで実施が可能となります。ただし、この場合は、施設が同じ敷地内や、隣接している場合など、利用者の利便性を損なわない範囲での運用となります。

通所介護事業所の送迎課題

送迎に関する内容について明確化する発表があったことが分かりました。以前から通所介護を行うサービスでは送迎に対して非常に負担があるとの課題があったとの事でしたが、どのような事が負担になっていたのでしょうか?調べてみると、下記のようなことが負担になっているようです。

  • 従業員の交通事故リスク
  • 従業員が送迎を担っており、介護サービスとの両立で業務量面での負担がある
  • 免許は持っているが、運転に自信がないなど従業員の精神的な負担
  • 都市部など免許保有率の問題で送迎を担当出来るスタッフの確保が難しい

業界については素人ではありますが、確かに本来は介護のプロである人員が送迎業務に割かれるのはもったいない気がしますね。そういった意味では、送迎専任の人員を共同委託などで確保できるのは大きな改定なのではないでしょうか?さて、では本題の事故に対するリスクについて考えてみたいと思います。

人の運送に関わる事故のリスク

業務で車両を利用するうえで、企業が考えなくてはならないリスクと管理

以下は介護業界に関わらず、業務で車両を利用する上で考えなくてはならない事ですが、

  • 安全運転管理者を必ず設置する
  • 運行記録やアルコールチェックなどの点呼を正しく報告させ、状況を把握する
  • 運転手や車両に異常が認められた場合は、運転の中止を指示するなど事故防止に努める

2024年12月から機器を用いたアルコールチェックが義務化されたことから、その内容のみがクローズアップされがちですが、車両運行を企業が管理するうえでは、上記の内容を正しく理解し、実行する事が大切です。そして、業界ごとの特性に応じて運用を考えていく必要があると思います。

通所介護サービスの車両利用はどんな特徴がありそうか?

  • ハイエースなど送迎用の大型車両を運転する事が多い
  • 運行ルートがあらかじめ決まっていて、ルート通りの送迎が求められる
  • 一つの車両を共有で利用している事が多い
  • 送迎専門の従業員は高齢の場合が多い
  • 車両管理内容としては、自家用車相当が求められるが、業務内容としては、運送事業に近い内容を実施している

上記のようなことが、特徴、課題として上げられるのではないかと考えました。例えば、通所の場合、往復の経路が決まっている事からあらかじめルートを決定しておくことが多いと思ます。その際に大型車両の運行においては、道幅などの事前確認も必要になるでしょう。

直行直帰は発生しないと思いますので、対面でしっかり運転前後の状況を確認する事が出来そうです。一方で、調べていると、送迎業務において、人材の高齢化が問題になっているという記事がいくつか見つかりました。そういった意味では、定期的な運転技術の確認などの指導が必要になりそうです。

また、車両が自家用車扱いの場合、車検・点検などの実施間隔は自家用車相当となります。しかし、日々業務で使用する以上、毎日の運行前点検は前提に一定の基準を設けた、整備・点検の準備が必要かもしれません。

具体的にはどのような方法が考えられるか

では、具体的にどのような準備をしたら良さそうか、下記にまとめてみました。

  • 安全運転管理者を設置する

まずは、安全運転管理者を正しく設置しましょう。毎年講習の受講が必要ですので、所轄の警察に問合せる事で日程や申込方法などを教えてもらえます。

  • 記録簿を用意する

運転日報、および点呼記録簿を用意しましょう。定められた項目があるので、不足が無いように準備する必要があります。

  • 運転前後の報告と承認体制を準備する

運転を開始する際、終了する際は安全運転管理者(もしくは安全運転管理者が指名した方)の確認のもと、報告承認を行う必要がありますので、体制を準備します。

  • 安全運転指導の定期開催を行いましょう

年間のスケジュールを立て、ある程度、毎年決められたスケジュールで実施を準備する事をおすすめします。

  • 車両の整備依頼先の選定など、点検の持込や相談が出来る依頼先を探しておきましょう

例えば、タクシー事業者の場合は、日々点検を行うので、事業所に専門の整備士が常駐していたりします。そこまでの管理は難しいと思いますので、近くの相談先を選定する事をおすすめします。業務で利用している事を伝えることで点検の時期などもお知らせしてくれるかもしれません。

最後に

当社ではクラウドで車両の運行管理・記録が行えるFLEETGUIDEサービスをご提案しています。ツールを導入すれば全てが解決できるわけではありませんが、どのように運用を考えたら分からないなど、お困りのご担当者様のお力位にはなれるかもしれません。

ぜひお気軽にお問い合わせ下さいませ。(お問い合わせフォームはこちら

関連記事はこちら

社用車で事故が起きてしまったら誰の責任?対応と対策について

 最近、ようやく涼しさが感じられるようになり、季節の移り変わりを実感しています。日の入りも早くなり、帰宅時間には外が暗くなっているのを見て、秋の訪れを一層感じら…

安全運転管理

社用車管理の重要性~2024年5月伊勢崎市で発生した飲酒運転事故から考える~

 2024年5月群馬県伊勢崎市で起きた大型トラックによる死亡事故。3か月経った8月に原因が飲酒運転だったとして運輸業界に大きな衝撃を与えました。同月28日には県…

安全運転管理

路面温度急上昇!タイヤのバーストにご注意を

 今年も暑い夏がやってきました。観測史上最も熱くなった昨年に匹敵する暑さとなる見通しで、人間にとっても車にとってもシビアなコンディションとなることは間違いないで…

安全運転管理

【義務】安全運転管理者を選出したら届出を提出!オンライン申請方法をご紹介

安全運転管理者、選出していますか?選任をしたら必ず届出を提出しなければなりません。 以前は運転免許証、戸籍抄本など必要な書類を揃えて自動車の使用の本拠地を管轄す…

安全運転管理

ライドシェア_有償運送の規制緩和における安全運転の課題

人手不足による影響で、一部地域や特定の業種で交通課題が話題になっています。最近ではライドシェアの部分的な解禁など、大きなニュースとなりました。また、送迎について…

安全運転管理

人事異動で必要な車両管理について

多くの会社で毎年行われている人事異動、複数拠点で営業をしている企業様は、車両の移動管理も一緒にされていると思います。今回は、人事異動に伴い、車両の移動が発生した…

安全運転管理

全国で大雪予報!冬季の車両運行を安全にするための備えとは

12月は、急な積雪や、路面と凍結と気象要因の他、日の入りが早く、日の出が遅いためどうしても薄暗い中での運転も多くなり、1年の中で最も事故が増える月です。今回のコ…

安全運転管理

altを入れます

点呼義務化スタート、今から「なる早」でシステム導入を考えるには

本日は、点呼義務化に伴い、今までの運用からの効率化を迫られている。大きな声では言えないが、実はまだ運用を開始できていない・・・そんなお客様向けの記事になります。…

安全運転管理

点呼業務とは、何を管理するべきものなのか?

いよいよ来月、2023年12月1日~道路交通法が改正され、アルコール検知器を用いた酒気帯び確認が義務化されます。すでに多くの皆様が検知器のご購入、サービスの導入…

安全運転管理

12月で大きく変わる!車両管理とは?改めて車両の業務利用について考えてみる

皆様の会社では、業務上車両を利用する機会はありますか?当社はよく業務で車両を利用します。もともとオートバックスというブランドを運営している事から、車両利用の管理…

安全運転管理

2023年12月1日から!「白ナンバー事業者」にも義務化となる酒気帯びの点呼確認方法とは?

安全運転管理者は、車両を一定台数以上所有する事業所への配置が義務付けられています。2022年4月1日からは下記の項目が業務内容に加わりました。 ・目視等での酒気…

安全運転管理

【ついに義務化へ!】白ナンバー事業者のアルコールチェッカー(検知器)義務化で行うべきこと

2021年11月に発表された改正道路交通法では、一定台数以上の営業車を所有する「白ナンバー事業者」において、アルコールチェッカーを用いた酒気帯び検査が2022年…

安全運転管理

『私が担当に!…大丈夫です、ご安心ください』安全運転管理者の役割とは?抑えておきたい基礎知識

業務で社用車を使う事業所の皆さま、安全運転管理者の設置はお済みでしょうか? 道路交通法により、車両を一定台数以上保有する事業所は、安全運転管理者を選任しなければ…

安全運転管理

【DX活用で生産性向上】今、注目!介護・福祉業界の業務負担削減のポイント

2022年4月から改正道路交通法の施行により、運転前後のドライバーに対する酒気帯び確認が義務付けられました。 近い将来、運送業だけでなく、デイサービスをはじめ福…

安全運転管理

運転日報の目的・内容とクラウド化による効率的な管理・運用のヒント

新任安全運転管理者必見!運転日報の目的・内容とクラウド化による効率的な管理・運用のヒント

運転日報は、車を保有する事業所に配置される「安全運転管理者」が用意し、運転者に記録させなければなりません。運転日報は紙のものが一般的でしたが、近年のデジタル化の…

安全運転管理

【事業者向け】なりすましなどアルコール検査回避の悪質手段の防止方法

【白ナンバー】【安全運転管理者】なりすましなどアルコール検査回避の悪質手段の防止方法

飲酒運転が原因で引き起こされる重大事故は、企業が最も注力して防ぐべきことのひとつです。一定台数以上の社用車を所有する事業所では、アルコールチェッカーを用いたアル…

安全運転管理

10月より厳罰化!今さら聞けない、安全運転管理者制度って何?業務内容や罰則は?

令和3年6月、千葉県八街市で発生した下校中の児童5名が死傷する凄惨な交通事故は、トラックの運転者が飲酒していたことや運転者が勤務する事業所が安全運転管理者を選任…

安全運転管理

コロナで変わった「働き方」「お酒との付き合い方」、企業の管理部門を大きく悩ませることになったコロナの影響

新型コロナウイルス感染症の拡大により、私たちの生活は大きな影響を受けています。日常生活だけでなく、オフィスへの出勤、対面でのコミュニケーション、大人数での会議や…

安全運転管理

【白ナンバー】運送業でなくても、アルコールチェック義務化、日本を支える建設業の安全運転管理者が知っておくべきこととは?

現在、様々な業種の企業様より、アルコールチェックに関するご相談を頂いております。その中で、最近、建設業を営んでいる企業様からのお問合せが増えてきました。アルコー…

安全運転管理

【白ナンバー事業者もアルコールチェック義務化】飲酒運転が会社に与える影響とは?

コロナ感染防止のための規制が解かれ、気の緩みや開放感から飲酒機会が増加、それに伴い飲酒運転事故のニュースをよく目にするようになりました。『ほんのちょっとの量だか…

安全運転管理

【白ナンバー】まだ間に合う。アルコール検知器義務化延期で更なる緊張感を!法律施行延期で安全運転管理者が今するべきことは?

総務・管理者の皆様、アルコールチェッカー(検知器)購入、準備はお済みでしょうか? 警察庁は14日、2022年10月1日から予定していた「白ナンバー」事業者に対す…

安全運転管理

出張時のレンタカー使用時や直行直帰時のアルコールチェックはどう行う?

【社用車管理】出張時のレンタカー使用時や直行直帰時のアルコールチェックはどう行う?

アルコールチェッカーを用いたアルコール検査は、原則として安全運転管理者の立ち会いのもと対面で行われるのが理想的です。では、出張などでレンタカーを使用する場合や、…

安全運転管理

白ナンバー事業所のアルコールチェック義務化について解説

【社用車管理】白ナンバー事業所のアルコールチェック義務化について解説

アルコールチェックは、緑ナンバーのトラックやタクシーを所有する、運送業や運搬業ではすでに義務化されています。2022年4月の改正道路交通法施行規則の施行により、…

安全運転管理

アルコールチェッカー(検知器)導入時に考えておくべき運用ルール

アルコールチェッカー(検知器)導入時に考えておくべき運用ルール【社用車管理】

飲酒運転による重大事故を防ぐため、これまで緑ナンバーに義務付けられていたアルコールチェッカー(検知器)を用いた酒気帯び検査。道路交通法の改正によって、2022年…

安全運転管理

商用車

【社用車管理】安全運転管理者の義務と罰則とは? アルコール検査義務化でどう変わる?

2021年6月に起きた事故をきっかけに、一定台数の白ナンバー車の使用者にも、安全運転管理者によるアルコール検査が義務化されることになりました。条件に当てはまる事…

安全運転管理

ページトップに戻る