社用車で事故が起きてしまったら誰の責任?対応と対策について
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安全運転管理
安全運転管理
令和3年6月、千葉県八街市で発生した下校中の児童5名が死傷する凄惨な交通事故は、トラックの運転者が飲酒していたことや運転者が勤務する事業所が安全運転管理者を選任していなかったことなどが大きな問題となりました。企業が自動車事故の防止・削減に取り組む際に重要な責務を担うのが安全運転管理者です。改めて安全運転管理者制度の内容や業務、罰則などをまとめてお伝えしていきます。
※当面の間延期されていたアルコール検知器使用義務ですが、2023年12月1日より開始すると正式に決定されました。
▶「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集結果について
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まずは、改めて安全運転管理者制度について理解しましょう。安全運転管理者制度とは、一定台数以上の自家用自動車を使用する事業所等において、自動車の安全な運転に必要な業務を行わせる者を選任させ、道路交通法令の遵守や交通事故の防止を図るため、道路交通法に定められた制度です。
安全運転管理者は、自動車5台以上(乗車定員11名以上のものは1台以上)を使用している事業所(自動車使用の本拠ごと)ごとに1名選任し、公安委員会に届け出なくてはなりません。(自動車運転代行業者は、台数に関係なく営業所ごとに選任。)
・自動車は社用車に限定せず、マイカーであっても業務使用する場合にはカウントされます。
・原動機付自転車を除く自動二輪車(50ccをこえるもの)は1台を0.5台として計算します。
※選任の対象外 … 運行管理者を置く自動車運送事業者及び第二種貨物利用運送事業者並びに自家用有償旅客運送事業者
自動車定員数に関わらず自動車20台以上を使用している事業所では20台毎に1名、副安全運転管理者を選任する必要があります。つまり20台保有する場合は1名、40台保有する場合は2名というように保有台数に合わせて副安全運転管理者を選任しなければなりません。
安全運転管理者になるためには、まず年齢が20歳以上である必要があります。なお営業車両を数多く保有しており、副安全運転管理者を置くことが義務付けられている事業所の場合は、安全運転管理者は30歳以上でなければなりません。 また、年齢だけでなく運転管理の実務経験が2年以上なければなりません。
安全運転管理者等を選任したら、選任した日から15日以内に公安委員会(所轄警察署経由)に届出なければなりません。運転免許証、戸籍抄本などを自動車の使用の本拠地を管轄する警察署へ提出します。令和4年1月4日からは電子申請も可能となっています。
令和4年の道路交通法の改正により、安全運転管理者の選任義務違反に対する罰則が厳罰化、罰金の引き上げが施行されました。(令和4年10月1日より)
安全運転管理者および副安全運転管理者の選任義務違反や安全運転管理者の解任命令違反は、5万円以下の罰金から50万円以下の罰金へ引き上げられ、安全運転管理者等の選任解任届出義務違反においては、2万円以下の罰金から5万円以下の罰金に変更となりました。また、新たに安全運転確保のための是正措置命令違反が新設され50万円以下の罰金と定められました。近年、企業における安全運転管理は、より一層重要度を増して厳格さが求められています。
安全運転管理者は、事業所等の業務に従事している運転者に対する安全教育や、自動車の安全な運転に必要な業務を行わなければなりません。それでは、具体的に安全運転管理者がすべきことをみていきましょう。
例えば、運転者の適性検査から性格を診断し「自己顕示性が強い」などの結果が出た場合は急ブレーキや急ハンドル等の派手な運転になりやすい傾向があるため、自分の運転技術に自信を持つ、または信用しすぎないように注意する指導などが必要です。また、法令遵守の観点から、運転免許証のチェック(無免許運転、免許条件違反)などうっかり失効等しないよう管理を促す事も必要となります。
運転者が安全に運転できるよう運行計画を作成し、的確なアドバイスを行うことがポイントです。
【前日】無理のない運行計画の作成→【運転前】運転者と運転車両状況の確認→【運転中】休憩場所や休憩所、駐車場の確保指示→【運転後】運転者からの事例(ヒヤリハット)や走行上の危険個所等を聞き取り、次の運行計画の参考にしましょう。
長距離運転が続いて業務過多になっていないか、体調不良や心労により運転に悪影響が出ていないか、最近の勤務状況や生活リズムなどを確認し、不安要素がある場合は交替要員を配置し事故を未然に防ぎましょう。
異常気象時(大型台風・ゲリラ豪雨)や地震など災害発生時の対応マニュアルを作成し、慌てず対応できるよう運転者に周知徹底しましょう。
運転者の睡眠不足や酒気帯びの有無など健康状態を確認するための運転前点呼チェックリストや点呼記録簿を作成しましょう。運転者には運転前の車両点検の実施を徹底し、安全な運転をするための指導をしましょう。
運転の状況を把握するため、必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させましょう。運転者自身が毎日作成することで、会社の代表として運転している自覚を再認識し、自己管理能力を高める効果があります。また、走行ルートでのヒヤリハットや危険個所の情報は今後の運行計画に役立ちます。
運転者に対し、自動車の運転に関する技能、知識など、安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行います。管轄警察署の交通安全活動等を考慮にいれ、「最適な教育内容」「適切な時期」を取り入れた年間スケジュールを立てて安全運転指導を行いましょう。
運転者に対して、運転前後に酒気帯びの有無を目視等で確認する必要があります。2022年4月より、白ナンバー事業者も義務化の対象となりました。「目視等で確認」というのは、運転者の顔色、呼気の臭い、声の調子等で確認することをいいます。直行直帰の場合など対面での確認が困難な場合には、運転者にアルコール検知器を携行させるなどした上で、カメラやモニターで運転者の顔色、声の調子とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法と、携帯電話などで直接対話できる方法によって、運転者の声の調子の確認と併せて、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法が含まれます。
本来、アルコール検知器の使用義務も10月から実施される予定でしたが、現時点で十分なアルコール検知器が市場に流通する見通しが不透明であることから、期間未定の延期となっています。
※当面の間延期されていたアルコール検知器使用義務ですが、2023年12月1日より開始すると正式に決定されました。
運転前後の運転者に対し、酒気帯びの有無を確認した内容を記録し、1年間保管しなければなりません。記録方法や管理方法に決まりはありませんが、クラウド管理が便利です。自社に合った管理方法を確認しましょう。
公安委員会から選任届出をした安全運転管理者および副安全運転管理者に対する講習を行う旨の通知を受けたときは、必ず講習を受けなければなりません。最新の道路交通法や交通事故情勢など、安全運転管理業務に必要となる重要な講習なので、年度内に1度、必ず受講しましょう。安全運転管理者を選任すること、またその業務を遂行することは、企業にとって、従業員やその家族を守るためにも非常に重要な取り組みです。
2022年4月より追加された新たな業務「酒気帯び確認とその記録の1年間の保持」については、新たなルールの策定や機器導入の検討など安全運転管理者の業務負担は大きく、二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。社内においてもアルコール検知器の供給不足による機器導入時期の延期は、意識の低下や形骸化を招く恐れもあります。市場が鈍化している今こそ、コンプライアンス意識の向上と社内ルールの見直しをお勧めします。
まずは無料トライアルで使用感もお試し頂けますので、ぜひお気軽にお問合せ下さい。
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